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便秘?

便秘とは

「本来体外に排出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態」とされており、満足できない排便ができない状態です。便秘による症状が現れ、検査や治療を必要とする状態であり、その症状として排便回数減少によるもの、硬便によるものと便排出障害によるものがあります。便秘は女性ホルモンの変動が腸管運動に強い影響を与えるため、女性に多いといわれますが、慢性便秘の有病率をみると更年期以降も加齢とともに便秘に悩まされる女性や女性だけでなく男性も60代から急増しており、80歳以上では男女差は認めなくなります。

症状

  • 便が硬い
  • 便が出にくい
  • 残便感がある
  • 便回数が少ない(週3回未満)
  • 排便に時間を要する
  • お腹が張る
  • 排便に困難がともなう
  • 排便後もすっきりしない
  • 便秘薬を毎日飲んでいる
  • 便秘薬の量や種類が増えている

原因

食生活や生活習慣、大腸の機能低下、内服薬の副作用で便秘になると考えられますが、便秘になりやすい体質にはストレスで大腸がけいれんして便回数が減る体質と腸の形が原因(捻れ腸や落下腸)で便がひっかかりやすい体質があります。

糖尿病や甲状腺機能低下症といった病気やパーキンソン病などの脳神経疾患、それによる服用している薬剤、向精神薬といった薬剤、痛み止めや抗アレルギー剤、利尿薬といった薬剤でも便秘になりやすくなります。加齢、刺激性下剤の長期使用、ストレス、浣腸、便意の習慣的な我慢などでも排便機能の低下が起こりますし、腹圧や腸管の蠕動運動が弱くなる事でも便が進みにくくなって便秘になります。直腸の排便反射が低下すると直腸に便が下りてきてもはっきりとした便意を感じなくなり、便秘になります。一概に便秘は日常的な症状で軽く考えてしまう事が多く、大腸がんが原因となっている場合があり注意する必要があります。

4回に1回以上でこのようなことはありませんか?

① 排便時にいきむ 
② 硬い便が出る 
③ 残便感がある 
④ 直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある 
⑤ 便をかきだすなどの用手的な排便介助が必要 
⑥ 便回数が週3回未満

6項目のうち2項目を満たした場合に治療の対象としています。

便秘の種類

機能性便秘

排便機能の低下や直腸の排便反射の低下により起こる便秘で便の通過時間や排便機能で分けられます。
便の通過時間による分類

① 大腸通過時間正常型

便を出したいという便意の低下により起こる便秘で直腸までは便が下りて来ています。排便回数が週3回未満と少なく硬便のため排便困難となり、酸化マグネシウム等を投与すると軟便化するが、排便回数には変化がない事があります。食物繊維摂取不足などが原因になる事があり、食物繊維摂取量の適正化で症状が改善する事があります。

② 大腸通過時間遅延型

大腸の蠕動運動が何らかの原因で低下しており、直腸まで便が下りてくるまでに時間を要する状態です。糖尿病、甲状腺疾患、パーキンソン病などの疾患や薬剤が原因になります。食物繊維摂取量増加では、症状が改善しない事が多く、増悪する場合もあります。

③ 排便困難型

排便機能低下により、いきんでも排便がし難い状態。腹圧低下、骨盤底筋協調運動障害、直腸感覚低下などが原因になります。 

続発性便秘

病気や手術などで発症する便秘です。

①器質性便秘

大腸がんや虚血性腸炎後による腸管狭窄や閉塞、手術後の癒着により便秘が起こります。

②肛門直腸疾患

切れ痔を放置すると肛門狭窄がおこり、便が肛門を通過する際に激しい痛みを伴うため排便困難をきたし、便秘が悪化します。

検査

一般的な検査として血液検査、レントゲン検査(腹部X線)、大腸内視鏡検査があります。

血液検査では、糖尿病や甲状腺疾患など原因となる病気を評価します。

レントゲン検査では、腸閉塞や巨大結腸、便の貯留状態を評価します。

問診や診察で大腸がんなどの病気が疑われる場合や50歳以上で過去3年以内に大腸内視鏡検査を受けていない場合には、大腸内視鏡検査を勧めています。大腸内視鏡検査では、捻れ腸や落下腸のような形態異常の有無、大腸が狭窄や閉塞するような大腸がんなどの病気の有無を評価します。

治療

食事・栄養指導

大腸通過時間正常型では、食物繊維摂取量が不足している事が原因である起こるが多く、食物繊維摂取量の適正化(18~20g/day)で症状が改善する場合が多いが、大腸通過時間遅延型では、食物繊維摂取量増加では症状が改善しない事が多く、かえって悪化する場合もある。

薬物療法

大腸通過時間遅延型では、酸化マグネシウム剤や上皮機能変容薬などの非刺激性下剤が有効ですが、センノシドなどの刺激性下剤を併用する事もあります。

排出困難型には、軟便化する事で排便困難を軽減する目的では有効な事があり、浸透圧下剤が有効です。浸透圧下剤である酸化マグネシウム剤は、長期高用量や腎機能低下などで高マグネシウム血症を合併する危険があるためその場合には、3~6ヶ月間隔での血液検査による血清マグネシウムを測定します。

手術

高度な大腸通過時間遅延型の結腸無力症や続発性便秘の原因となる大腸がんやクローン病、憩室炎、虚血性腸炎などにより大腸狭窄を来たしている場合には手術が行われます。

セルフケア

捻れ腸や落下腸の場合、便の通りが悪く、大腸も強く蠕動するため便の通過に腹痛を伴う事があります。運動を行うと便の通りが良くなる事もあり、腰を揺らす運動やお腹をのの字にマッサージする事が有効な場合があります。

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