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認知症

認知症とは?

物忘れは、病気による場合と加齢による場合があります。

物忘れの中には、脳や身体が原因で起こる認知症があり、認知症は記憶や判断力などの働きに障害が起こり、進行すると日常生活が支障をきたす状態になります。

認知機能障害には、記憶(エピソード、意味、手続きなどの記憶が低下する)、見当識(日付、場所が分からなくなる)、視空間認知(街中で迷子になる、駐車が下手になる)、注意(適切な意識や集中が持続出来ない)、言語、遂行機能(目標を定め、計画を立て、実行する事が出来ない)といった機能障害がみられます。

診断により、進行を遅らせる事ができる場合や早期発見により改善する場合があります。

症状

  • 物忘れが多くなった
  • 同じ事を何度も繰り返し聞く
  • 時間や場所が分からなくなった
  • 幻覚が見える
  • 誰かに物を盗られたと言う事が多くなった
  • 万引きで捕まる事がある
  • 怒りっぽい、ふざけている、無気力などの以前と性格が変わった
  • 今まで出来ていた事が出来なくなった
  • 自宅が分からなくなった

疾患

軽度認知障害(MCI)

もの忘れなど認知機能の一部は低下していますが、日常生活に支障が生じていない状態を軽度認知障害であり、進行すると認知症に進行するため認知症の前段階と考えられていますが、うつ病や常用している内服薬による影響もあるため進行するのは約半分程度ともいわれています。

アルツハイマー型認知症

認知症の中では最も多く、80歳以上では約20%以上といわれています。脳細胞がアミロイドβやタウタンパクによって脳神経細胞が損傷し、記憶に関する海馬や側頭葉後部などに萎縮が起こります。エピソード記憶の障害を中心とした広範な認知障害が必発で、最近の事ほど忘れ、全体的にわすれてしまう「もの忘れ」、時間や季節の取り違えがみられ、徐々に道に迷い自宅へ帰れないなどの「見当識障害」、料理がうまく出来なくなるなど手順が分からなくなる「実行機能障害」、テレビの付け方やリモコンの使い方、お金の払い方が分からなくなる「失行」がみられます。徘徊や盗まれたと認識する妄想などがみられます。進行すると言葉が失われ、会話が出来なくなり、排泄など身体的能力が衰え始め、介護が必要となってきます。

レビ-小体型認知症

脳神経細胞にレビ-小体というパーキンソン病にみられる蛋白が広範囲に蓄積し、脳神経細胞が障害を受けて発症する認知症です。症状として、「虫がいる」「他の家の人が入ってくる」などの幻覚や妄想がみられます。アルツハイマー型認知症と比較して、海馬の萎縮は少なく、記憶障害は軽い特徴があります。また、夜間に大声を上げたり、手足をバタバタさせる症状がみられます。表情が少なくなる、転びやすくなる、手足の震える、動作がゆっくりとなる動作緩慢などのパーキンソン症状もみられます。また、自律神経障害である便秘や多汗といった症状や起き上がると急激に血圧低下を起こし、意識を失うなどの症状をきたす起立性低血圧もよくみられます。

前頭側頭葉型認知症

脳の前頭葉と側頭部の萎縮が目立ちます。前頭葉は、本能的な衝動を抑制し理性的な行動を行ったり、他人の気持ちを推し量ったり、ものごとに対する興味や関心を維持したりする働きを持っています。「(行動異常型)前頭側頭葉型認知症」「意味性認知症」「進行性非流暢性失語」といった3タイプに分類されます。「前頭側頭葉型認知症」は、社会的ルールを無視するような背格変化が特徴的で、非道徳的な行動(万引きや交通ルールの無視、道端で放尿など)がみられます。「意味性認知症」は、言葉や物事の意味や知人などの顔が分からなくなるなどの症状がみられます。言語の理解を担当する側の大脳が主に障害される場合で症状は異なりますが、優位半球の場合、物・場所・ヒトの名前など、単語が分からないという症状が初発である事が多く、劣位半球の場合、無関心・無気力・怒りっぽくなるなどの行動異常で発症する事が多く、優位半球の場合と比べて、ヒトの顔の同定が出来なくなる事があり、どちらのタイプでも食べ物の嗜好が変化し、例えば甘い物などを毎日同じ物ばかり食べるようになり、抑制がきかずに食べ過ぎて肥満や糖尿病を発症する事があります。「進行性非流暢性失語」は、言葉の理解は概ね保たれていますが、言葉のしゃべりづらさ、言葉のもつれで発症する事が多く、徐々に自発語が少なくなり、全く言葉を発する事が出来なくなります。パーキンソンニズムがしばしば出現しますが、パーキンソン病と違い、L-ドパで改善せず、むしろ精神症状を増悪させる可能性がありますが、転倒や誤嚥に対してはある程度有効な場合もあります。「(行動異常型)前頭側頭葉型認知症」は平均5年、「意味性認知症」は平均10年、「進行性非流暢性失語」は平均6年程度で大部分が重度になり、全体で11年でなくなる方が多いとされています。

脳血管性認知症

生活習慣病などが原因で脳梗塞や脳出血が起こり、症状や程度は梗塞や出血の障害される場所によって違います。脳卒中がきっかけで感情の起伏が激しくなったり、怒ったり泣いたりする感情失禁、言語障害や手足の麻痺、易怒性、尿失禁などの症状を伴う事があり、脳卒中発作を繰り返すと段階的に症状の進行がみられます。

慢性硬膜下血腫

頭部打撲後、数週間~数ヶ月後の時間経過で硬膜と脳の間に徐々に血腫がたまり、脳を圧迫する事で物忘れや歩行障害などの症状がみられるようになります。早期であれば、手術で血腫除去が行われると症状の改善がみられます。

正常圧水頭症

くも膜下出血や脳炎、外傷後などで二次的に生じる「続発性」の場合がありますが、明らかな原因がなく生じる「特発性」もあります。髄液の流れが悪くなり、脳室が拡大して脳を圧迫する事で物忘れ、歩行障害、尿失禁といった症状がみられ、徐々に進行します。治療としては、脳脊髄液のシャント手術が行われ改善を認めますが、手術は全身状態や他の認知症の有無にもよります。

脳腫瘍

良性と悪性があり、症状や程度は腫瘍の場所によって違います。

 

その他、甲状腺機能低下症、アルコール摂取障害、肝硬変、ビタミン欠乏症でも起こります。